【イベントレポート】国際女性デーイベント「NZ STEM Women’s Leadership」Vol. 4

こんにちは!Girls in Tech Japanの田中です。

2021年3月13日に、国際女性デー(以下「IWD」)に合わせて、ニュージーランド大使館の留学促進機関 エデュケーション・ニュージーランドとオークランド工科大学と共催の下、STEM分野での研究や就職を考えている次世代の女性たちを応援するオンライン無料イベントを開催したので、その様子を報告します!

今回の記事は、イベント報告 第4弾 最終レポートです!
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<パネルディスカッション 〜参加者からの質疑応答〜>

ファシリテーター:ニュージーランド大使館 エデュケーション・ニュージーランド駐日代表 北岡氏
パネリスト:Mahsa先生、現役AUT日本人留学生 平子さん、Girls in Tech Japan(以下「GIT」)代表 加藤、GIT クリエイティブマネージャー 月山

質問①STEM分野に進学・留学したきっかけ
北岡氏:それでは、参加者の皆さんからチャットでいただいた質問に答えていきます。
まず最初の質問は、「STEM分野に進学・留学したきっかけを教えてください」とのことです。

AUT平子さん:私が留学を決めた理由は、大学生の頃から英語圏で作られたゲームするのが好きで、それがきっかけとなって「英語圏でプログラミングを勉強してみたいな」と思ったからです。

GIT月山:身近な理由をあげると、私の家庭環境が影響していて、父が亭主関白で女性の高等教育に対してネガティブな考えだったので、反骨精神と、海外に出ないと教育を受けられないと考えて、「海外進学に挑戦しよう」と思い、留学を志しました。

GIT加藤:留学という観点だと、私の場合、研究者として大学院に短期留学したことがあるのみで、米国に移住したのは社会人になってからでした。
当時、日本の製造メーカーで働いている中で、女性として日本の社会で働くことが難しいと感じ、米国の自由にディスカッションできる文化に魅力的に思ったので移住しました。

北岡氏:STEM分野に興味を持ったきっかけは何でしたか?

GIT加藤:中学生の時、家庭教師の先生が農学部の方で、勉強の傍ら、遺伝子組換えの話をしてくれたことがきっかけです。
色んな野菜が組み合わさることで、人工的に新しい品種が誕生するなどのお話がとても面白く、STEM分野に進みたいと思いました。

北岡氏:Mahsa先生はイランからNZに留学したきっかけや、NZの大学で研究することになったきっかけなどを教えていただけますか?

Mahsa先生:NZを選んだ理由は、2つの奨学金を得ることができたからです。
ひとつは、当時通っていた大学からで、もうひとつは、なんと北岡さんが所属しているエデュケーション・ニュージーランドからのものでした。
2つの奨学金があったおかげで、NZへ留学することへの負担が軽くなったため、NZを選択しました。

質問②日本でジェンダーバイアスがない社会を作るためにはどうすれば良い?
北岡氏:続々と質問が届いているので、次の質問に進めます。
日本で男性エンジニアとして働いている方からの質問です。
「社会にこれほどジェンダーバイアスがあるとは思っていませんでした。日本でジェンダーバイアスがない社会を作るためには、どうすれば良いのでしょうか?」
皆さんの意見を伺いたいそうです。

Mahsa先生:まず、本日のイベントに参加いただき、本当にありがとうございます。
男性エンジニアであっても、このようなイベントに参加するだけで、周りの人に対して「ジェンダーバイアスのない社会の実現に貢献したい」というメッセージが伝わると思います。
なので、参加いただき、本当に素晴らしいです。

そして、どのように実現できるかですが、無意識のバイアスは自分でも気づかないうちにしてしまっていることなので、「教育」がとても重要です。
異なる属性やバックグラウンドを持った人たちを集めて、自分では気づかない、彼らが困っていることなどを話し合うことが、無意識のバイアスに気づける最初の一歩になります。

そして、それは私たち一人一人が行動することがから始まります。
本日のイベントで、自分の中に無意識のバイアスがあることを知ったなら、今後、男性が過半数で女性が少数の場に遭遇した際に、必ず少数派の意見を引き出すように心がけてください。
常に異なる意見に耳を傾けて、それに対して何ができるかみんなで話し合うことが、ジェンダーバイアスのない社会を実現するための、最初の一歩なのです。

GIT加藤:質問者様が男性で特権を持つマジョリティの立場ですが、このような質問をしてくださったことが、とても大切だと思いました。本当に素晴らしいです。
自分自身がマイノリティの立場になって初めて社会構造の問題に気づくことが多いと思うのですが、このように、マジョリティの方が問題に気付き、マイノリティ側に声をかけることがとても重要だと思います。
Mahsa先生がおっしゃったように、質問者様が率先して、職場などで周りに声をかけて、無意識のバイアスなどについて話し合って欲しいと思います。

質問③NZ教育ではどのような教育をしていますか?
北岡氏:続々と質問が来ています。続いては、「現在、『意を唱える技術、空気を読まずに破る力』と、それらの声を『嫌がらずに聞く力』、『聞いた上で意見を採用・不採用する技術』が必要ということに興味があるのですが、NZの初等・中等教育で、そういった『EQ(感情指数)を高めるエンパシー教育』があれば教えて下さい」とのことです。

Mahsa先生:AUTでの事例を紹介したいのですが、私たちは無意識のバイアスに関するワークショップを実施しています。
AUTの工学部は、女性の教員と生徒の割合が10%以下のため、無意識のバイアスにより、学部の方向性が多様性のある内容にならない可能性があります。
先ほどお伝えした通り、「教育」が重要なため、毎月学部内でワークショップを実施しています。
もうひとつは学部生(女性)にメンタープログラムを提供しています。一人の女性学部生に対して、一人の教授がつくメンタリングプログラムです。
女性学生が安心した環境で、自信を持って挑戦できるように配慮しています。
She#では、学生から社会人を繋いで、テクノロジー業界で何が起こっているかなどを共有することでSTEM分野におけるジェンダーギャップをなくすよう努力しています。

北岡氏:なお、NZ初等教育では「PB4L(Positive Behavior for Learning)*」というカリキュラムが取り入れていて、活発な議論が行えるようにしています。
ポシティブな言動や行動があったときに、褒めてあげる仕組みで、オンライン上で管理されています。
例えば、留学生に英語を教えてあげた、先生のお手伝いをした、などでポイントが得られるようになっています。
ポイントが溜まると、クッキーがもらえるなどのインセンティブがあります。
このようにポジティブな行いを可視化し評価することで、生徒が発言しやすくなると思います。
*PB4L:https://pb4l.tki.org.nz/

質問④STEMを学びたい女性をサポートする策は?
北岡氏:続いて、「STEMを学びたい女性が、今の日本の現状を見て希望を持てなくなる気がしています。何か解決策などはありますか?」とのことです。
今からできることは何かありますか?

GIT月山:現状は希望を持つことは難しいかもしれないけれど、今からできることとしては、私自身も含めて、「現状を良くしていこう」というマインドセットを持つことではないでしょうか。
また、私たちGITをはじめ、最近では現状を変えていこうとしている女性が多くいらっしゃいますので、GITの活動などを通じて、そういった女性の方々と接することで、モチベーションをあげられるのではないでしょうか。
壁にぶつかったとき、周りに良いインパクトを与えたいときなどに、GITが提供しているロールモデルのブログ記事やイベントに参加いただくなど、様々な情報にリーチすることが大切だと思います。

AUT平子さん:個人個人が積極的に行動することが大事だと思います。
確かに、今の日本社会には、無意識の偏見があるかもしれないけれど、応援してくれる男性がいることも事実です。
あまり偏見を意識しすぎずに、自分の「やりたい!」と思ったことをやっていくことが良いのではないでしょうか。

質問⑤文系として出来ることは?
北岡氏:先ほどの話に関連した質問が来ています。
「私は文系の学生なのですが、文系としての何かアプローチ出来る方法はありますか?」とのことです。
文系としてのSTEMへのアプローチ、いかがでしょうか?

GIT加藤:米国では文系理系をそもそも分けてないので、あまり文系・理系で分けて考えることは気にしなくて良いと思います。
本日共有した統計データによって、STEM分野における女性の現状に残念な気持ちになってしまったかもしれないのですが、実はSTEM分野の産業では女性を求めていることを知って欲しいです。

例えば、先程Mahsa先生からアルゴリズムバイアスの話がありましたが、私が現在関わっているデジタルヘルス産業では、例えば肌に貼り付けるデジタルデバイスがあったとして、技術的に白人だけに使えるように製品が出来上がってしまうと、それがアルゴリズムバイアスに当たり、その会社は差別主義者と呼ばれてしまいます。
どのような色の肌でも機能する製品を開発するために、様々な人種の意見が取り入れられています。
このように性、人種などに囚われず、様々な人の視点での「ものづくり」が求められています。
自分の意見は求められているんだということを忘れずに、だからこそ恐れずにやりたいことにチャレンジして欲しいです。

北岡氏:Mahsa先生にも聞きたいのですが、NZにも文系、理系といった分け方はあるのでしょうか?
そして、文系分野からどのようにSTEM分野へアプローチ出来るでしょうか?

Mahsa先生:AUTでは、多くの女性たちに「STEAM分野*」に取り組むことを促しています。
AUTでは、文系理系の専攻ごとにカリキュラムを分けるのではなく、全員がSTEAMを総括的に学ぶ機会を提供しています。
なぜなら、AIなどのシステムを設計する際に、アート思考などのクリエイティブ分野の思考も必要となるからです。
学部を分けて考える時代は終わりで、今は様々な分野を総合的に学ぶことが求められていると感じます。
例えば、私の生徒の中には、脳神経を学びながら、AIも学んでいる生徒もいます。
このように総合的な学びが必要になってきていると思います。
*STEAM: Science, Technology, Engineering, Art, and Mathematics.

北岡氏:これから日本も文系理系の垣根を越えて学んでいくことが大切かもしれませんね。

質問⑥どうすれば女性の声が組織全体に届くのか?
北岡氏:たくさん質問をいただいていますが、時間が来てしまったので、最後の質問です。
「年功序列という日本のシステムのせいかもしれませんが、やはり民間の会社でも役職がついている人は男性ばかりです(学校でも校長先生は男性ばかりだと思います)。ひとりの社員が変えられるシステムではないと思うのですが、どうしたら女性の意見が、会社や組織全体に届くと思いますか?」とのことです。

ちなみに、私の経験ですが、NZの学校を100校以上訪問した経験がありますが、校長先生はほとんど女性でした。

GIT月山:質問者様の気持ち、とてもよく分かります。私は自分自身が力をつけることしかないと思っています。
マイノリティ側の意見をマジョリティに聞いてもらおうとすると、誰もが納得する実績があれば、誰も文句は言わないと思っています。

確かに、社会的構造上はマイノリティが不利になる立場にはなっていますが、どうにか結果を出して認めてもらうことが大事ではないでしょうか。
そういったメンタリティで私は頑張っています!
女性は無意識のうちに劣等感を感じてしまったり、自信がなくなったりしまって、会議などでも意見を言いにくい場面があるかもしれないのですが、「負けないぞ!」というメンタリティで遠慮しないことが大切なのではないでしょうか。

GIT加藤:日本の教育には予算がないことが問題だと思っています。
これは教育業界にいる友人に聞いた話なのですが、日本では校長先生に60歳以上の方を雇った方がコストが安く抑えられることから、男性が多い傾向にあるそうです。
そういったシステムを変えることがまずは大事ですが、予算を確保しなくてはならないので、一人では変えることは難しいですよね。

まず、自分自身で出来ることとしては、自分の周りにいる女性や他校の女性たちとコミュニティを作り、当事者の声を大きくしていくことが大切です。
スイミーが「小さな魚を集めて、大きなサメに立ち向かう」というように、同じ声を集めて声を大きくしていくこと、一人だけでやるのではなく、仲間と一緒にやることをお勧めしたいです。

北岡氏:小さな声を集めて大きな声にするためにも、GITのメンバーになることが良いソリューションになるかもですね!
最後に、あなたにとっての #ChooseToChallenge は?

今年のIWDのテーマは「#ChooseToChallenge」なのですが、皆さん一人ひとりにとっての「#ChooseToChallenge」は何か教えてください。

AUT平子さん:目的に向かって積極的に行動することです。
今回イベントに参加してくださった方々の中には、学生の方も多いと思いますが、実は私は学生時代、あまり優秀な生徒ではありませんでした。
でも、プログラミングの勉強がしたいという気持ちを諦めず、NZへ留学する挑戦をしました。
挑戦することは大変なことですし、周りから止められることもあるかもしれないですが、応援してくださる方もいらっしゃいますので、絶対に諦めないで頑張ってください。
きっと努力した分だけ得られるものはあると私は信じています。

GIT月山:私は#ChooseToChallengeとは、個人と集団にとって「前進」を意味するものだと思っています。
「前進」とは、既存の価値観や社会的な制約からの脱却と捉えています。
あなたの成功も私の成功であるという意識を持ち、女性の成功を女性以外の方々とも共有し喜び合えるような環境にすることが、「#ChooseToChallenge=挑戦を選択する」ということなのではないかなと思います。
女性の意見が反映されるからといって、他の属性の方々の権利や主張が阻害されるわけではないので、一人ひとりの挑戦や選択が、多様な社会の実現を可能にすると思っています。

GIT加藤:私にとってのChoose to Challengeは、選択肢を自分で作り上げることだと思います。
目の前に選択肢があるときに、まず一度私は立ち止まって考えてみます。果たして選択肢は目の前の2つだけなのか、目に見えていない第3の選択肢があるのではないかと疑ってみることが大切です。
これはルール(で守らなければならない)なのか、ただ広まってしまっている慣習なのか、疑ってみることも良いと思います。
多くの場合、他にも選択肢が出てくることがあります。

本日の登壇者の話がSTEM分野の女性の全てではないですし、他にも色んな経験をしている女性たちがいます。
何か挑戦する際には、様々な意見に触れながら、自身で意思決定していくのが大事だと思います。

Mahsa先生:私は何に挑戦するかは自分次第だと思っています。
例えば、ジェンダーバイアス、ジェンダーギャップ、男女の賃金格差などに挑戦するのは、私たち次第ですし、この解決には、私たちみんなが協力し合うことが大切です。
つまり、まず私たち一人一人が平等を支持し、ステレオタイプ(偏見)を壊していくことが今すぐ出来る挑戦ではないでしょうか。
そして私たち全員が行動していくことで、様々な格差を解消できると思います。

最後にお伝えしたいのは、多くの成功している女性の影には、他にも成功している女性がいること、サポートしてくれている女性がいることを忘れないで欲しいです。

(最後に動画を見せながら(*以下キャプチャ参照))

私たちは、みんな助け合うことができるし、そうすることで世の中に私たちの声を届けることができるのです。
そして、その結果として、女性の地位を確立できることになると私は信じています。

北岡氏:最後にGIT加藤さんより参加者へメッセージはありますか?

GIT加藤:本日は楽しんでいただけたでしょうか?
毎度Girls in Techでこのようなイベントを行うと、必ず「愛子さんは、特別」、「キラキラしていて着いていけない」「登壇者の方々と私は別」と言われる方がいらっしゃいます。
確かに挑戦することは怖いですし、プレッシャーがかかる事だと思います。

私自身もそうなのですが、何をしても自信が持てない人は、特に女性に多いと思います。
そんな時は、choose to be myself 常にありのままの自分でいることを大切にして欲しいです。
自分と同じシチュエーションにいる人は誰もいないので、自分の「あるがまま」を受けれることがとても大切だと私は思います。

本日はご参加いただきありがとうございました!

***

参加者からの質問が多く寄せられ、オンラインイベントでも活況だったことが伝わったでしょうか?

NZでの事例などを踏まえ、日本社会を変えるために、私たち一人一人ができることは何か?たくさんの参加者が質問してくれたことに、私自身とても感動しました。

男性も女性も、学生も社会人も、日本にいる人も海外に住んでいる人も、色んなバックグラウンドの人が集まり、現状を変えるために「自分自身は何ができるのだろうか?」と考えてくださったことが、現状を変えるための大きな一歩だったと感じています。

今後もGIT Japanでは、文系理系問わず、STEM分野で活躍している女性たちのストーリーを様々な形でお伝えする活動を通じて、日本社会を支える女性たちや、次世代の女性たちに、一歩踏み出すことの後押しができたら幸いです。

イベントの感想や、今後GIT Japanにやってほしいことなど、いつでもコメントお待ちしております!
これからもGIT Japanをよろしくお願いします!


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